法人の不服申立

税務署・審判所に「再調査」「審査」を請求


 法人というのは不思議なもので、実際には影も形もなく、本社ビルや看板は「所有」しているだけで存在そのものは見えない。それなのに人間と同じようにモノを売買することも、さらにはそのニンゲン様を雇うこともできる。名誉棄損などで裁判の当事者になることも可能で、権利のみならず主体として課税の義務も負う。そのため課税に不服があれば国税不服審判所の利用も可能だ。

 

 手順としては、税務署に処分が不服だとして「再調査」を請求するか、審判所に「審査」を請求することになる。では、税務署・審判所に対して、いったいどういう場合に不服の申し立てが可能なのかというと、①納付税額を増加させる更正処分、②申告のない場合に納付税額を決定する決定処分、③更正の請求に対して行われた更正をすべき理由がない旨の通知処分、④加算税の賦課決定処分、⑤青色申告の承認の取消処分、⑥差押え等の滞納処分――など、これらの処分を税務署長などから受けたときだ。

 

 一方、「納付税額を減少または還付金額を増加させる処分」は不服を申し立てることはできない。これは、処分によって自己の権利または法律上の利益が侵害されていないためとされている。また、「誤って納付税額を過大に申告した場合」も不服申し立てができない。理由は「処分を受けていないから」だそうだ。このケースでは、不服申し立てではなく、誤って申告した税額を正しい税額に是正する「更正の請求」の手続きになる。(2018/06/20)