個人で不動産を買う際には、もしものことがあった場合に備えて住宅ローンの残債へ充当する「団体信用生命保険」、いわゆる団信に入ることがほとんどだ。
この団信は原則として個人向けの保険であり、不動産管理法人で物件を買うケースでは加入できないことがほとんどだ。いつか必ず死ぬ個人とは異なり、代表者が変わっても法人そのものは「死なない」ため、金融機関にとっては法人を団信に入れる意味合いが薄いという理由がある。
また個人だと、本人が死亡して相続人に相続放棄をされてしまうと、担保物件を処分するしかなくなる。金融機関としては、なるべく団信で滞りなく支払わせたいわけだ。
少数ではあるものの、法人の団信加入を認めているケースも存在する。法人向けの団信では、代表者にもしものことがあった場合に法人が負うべき残債を補う。しかし法人の団信加入を個人とまったく同じように考えるのは危険だ。団信で残債が完済されると、法人には残債分の債務免除益が発生し、法人税が課されてしまう。
不動産であれば数千万円の免除益が発生することも珍しくなく、納税資金に困ったあげく物件を売却せざるを得なくなるケースもある。法人で不動産を買う際には、団信に入るかどうかは慎重に検討したほうがいいだろう。(2018/10/23)