従業員が死亡した際、退職金の支給についての規定がなく、また本人からの具体的な指定がなければ、会社は退職金を民法上の遺産相続人に支払うことになる。このとき相続人が子ども2人であればそれぞれに支払うのが基本ルールだ。
だが、兄弟間で協議して仮に長男を代表とする旨の次男からの委任状があれば、長男一人に送金することで問題ない。ただし、会社としては死亡した従業員の相続人が本当に兄弟だけなのかは確認したいところだ。
兄弟からは、退職金支払いに関する合意書を提出してもらうようにしたい。これにより退職金の授受の記録が明確になり、会社は善意の第三者としての地位を確立できる。
なお、従業員の死亡による退職金の受取人をあらかじめ退職金規程などで定めておく際には、民法の遺産相続の順位にかかわらず、従業員と同居していた配偶者、子、父母、孫、祖父母などの順番でも構わないとされている。(2020/03/02)