歯列矯正治療

歯科医の収入計上時期は?


 歯の矯正に関する情報をまとめたウェブサイト「矯正歯科ネット」で紹介されている事例によると、矯正にかかる費用は装置や調整費を含めたトータルで80〜95万円であることが多く、矯正装置を外すまでの期間は1年半〜2年半くらいだという。年をまたいだ治療になるのが一般的であるようだ。

 

 歯科医師が歯列矯正治療で受け取るのは、矯正装置の代金、装着料のほか、その矯正治療の全期間を通じる「基本料金」として請求する報酬である。この報酬を歯科医師が収入に計上するタイミングは、患者との契約の実態に応じて区別される。

 

 基本料の全額を、矯正装置の装着など一定のサービスを提供したときに受け取る場合は、そのサービス提供完了日が計上時期だ。また、一定の期間の経過、あるいはサービス提供の程度に応じて所定の基本料を受け取るのであれば、その期間が経過した日(サービスを提供した日)の収入とする。

 

 前段以外のときは、支払日が定められていればその日が計上時期。定められていなければ支払いを受けた日が収入の日となる。ただし、支払日が矯正治療の完了日以降であるときは、その完了日が歯列矯正料の収入日となる。

 

 なお、患者側の税務だが、将来の就職や結婚を考慮して歯並びを矯正するための費用は医療費控除の対象にならない。見た目の美化や容貌を変えるための施術は、治療目的とはみなされないためだ。

 

 ただし、発育段階にある子どもの成長を阻害しないように行う不正咬合の歯列矯正のように、歯列矯正を受ける人の年齢や矯正の目的からみて社会通念上必要であるとみなされるものであれば、医療費控除できる。(2016/09/03)