振り込め詐欺被害

雑損控除は使える?


 自分や家族の持っている資産が、災害、盗難、横領で損害を受けたときに、その損失分を所得から控除できる雑損控除。「振り込め詐欺」にあったときにも、この雑損控除が使えるのだろうか。

 

 振り込め詐欺で金をだましとられた納税者が、損失分は雑損控除の対象になると国税不服審判所で主張したケースがある。

 

 この納税者は詐欺の犯人が指定した口座に複数回の振込送金をしていて、その行為自体が納税者の意思に基づいていることから、審判所は雑損控除の対象になる「災害」や「盗難」による損失に当たらないと判断。また、振り込んだ金銭に対する所有権は、振り込み時点で詐欺の犯人側へ移転したと認められるため、「横領」による損失にも当たらないと判断した。この審判所の判断のとおり、振り込め詐欺による被害は災害、盗難、横領とは別物とみなされるため、雑損控除の対象にならないというのが国税当局の見解となっている。

 

 振り込め詐欺、ギャンブル必勝法情報提供名目の詐欺、デート商法といった「特殊詐欺」の被害額は年間約477億円にも上る。(2016/06/05)