情報漏えいの賠償金

会社の責任なら損金処理


 企業の保管する個人情報が流出したというニュースが後を絶たない。顧客の個人情報が漏えいてしまうと、会社の社会的な信用低下に直結するほか、高額な損害賠償を求められることもある。

 

 従業員が他人に損害を与えて会社が損害賠償金を支出したときは、その損害を与えたのが業務遂行に関連するときで、かつ故意または重過失がないものは、給与以外の損金に算入する。

 

 一方、業務遂行に関連するが、故意や重過失がある場合、または業務遂行に関連しない場合は、損害を与えた役員や従業員に対する債権となる。

 

 通常の債権に基づくお金は将来的に回収できるものなので、損金に算入できない。ただし、その社員の支払い能力から考えて債権を回収できる見込みがないことが明らかならば、貸し倒れとして損金にできることもある。

 

 なお、日本商工会議所は会員向けに「情報漏えい賠償責任保険制度」を用意している。保険料は業種や支払限度額の内容によって多少違いはあるが、1年契約で10万円ほど。この保険料は税務上、全額損金となる。(2016/08/18)