役員が報酬の受け取りを辞退

源泉徴収は必要か?


 業績不振の責任を取って役員が報酬を辞退した場合、会社は源泉徴収する必要はない。ただし、それが支払期日を過ぎた未払報酬であれば、源泉徴収しなければならない。

 

 給与所得の収入金額は、その給与等を得る権利が確定した年分に計上することとされている。そして、給与所得にかかる所得税の源泉徴収時期は、原則として、源泉徴収の対象となる給与等の支払いが現実に行われた時点となっている。このため源泉徴収は、給与等の支払いが確定し現実に支払う段階でしなければならないが、給与所得者が受けるべき給与等の全部または一部をその支給日前に辞退していれば、給与所得とならず課税されないこととなっている。

 

 だが、所得税では給与等の支払い者が、未払い給与の債務免除を受けた場合には、債務免除を受けた時点で給与の支払いがあったものとして源泉徴収を行うこととされている。

 

 なお、従業員の給料は全額払いの原則があるので、会社には支払いの義務がある。だが、従業員本人が自由意思で賃金の受け取りを拒否すれば、認められることになる。ただ、それには客観的かつ合理的な理由が必要とされているため、業績不振のたびに社員に負担させることはできない。合理的な理由としては、社会保険料の支払い義務が生じることを避けるため、などが事例として挙げられている。(2019/04/17)