税法では、一定以上の広さの土地は「広大地」として、相続や贈与などの際の評価額を広さに応じて減額するという制度が設けられている。この広大地のルールが今年１月から大きく変わった。適用要件や減額補正率などにあいまいな点が多く、実勢価格と評価額に大きなかい離が見られたことや、適用の可否をめぐって納税者と国税当局が対立するケースが多いことを踏まえ、要件や減額ルールなどが明確化された。

　新ルールでは、「三大都市圏なら５００㎡以上、それ以外なら１千㎡以上」、「普通住宅地区もしくは普通商業・併用住宅地区にある」などの要件を満たせば、税法上の「地積規模の大きな宅地の評価」として評価額を減らすことができる。また旧ルールでは減額幅を単純に面積比例で計算していたが、いびつな形で使い勝手が悪い土地と、四角く使い勝手の良い土地の実売価格に差額が出ることを考慮し、形状など土地の〝個性〞に応じた補正率を加味して減額率を算出することとなった。

　ルールが明確化されて分かりやすくなったと言うこともできるが、面積要件がないことを利用して中規模の土地を広大地として認めさせるような、今までの節税手法が使えなくなったとも言える。

　注意したいのは、旧ルールではあいまいだった広大地の要件が明文化されたことで、これまで評価減の対象となってきた、①路線価地区区分の「中小工場地区」、②地積規模の要件に満たない土地、③指定容積率３００％の地区で道路の幅員で制限のある土地――が減額対象外になったことだ。広大地による減額幅は大きいため、適用がないだけで土地の相続税評価額がこれまでの２倍に膨らむことも起こり得る。また広大地適用されたとしても、四角く使い勝手の良い土地では減額幅が縮小され、評価額に数千万円の差が出てしまう可能性もある。

　一方、いびつで使い勝手の悪い土地は、これまでより減額幅が大きくなる可能性が高い。またマンション用地など、新ルールになって広大地が適用できるようになった土地もあるので、広大地ルールの見直しによって得をするか損をするかはケースバイケースと言えるだろう。(2018/11/13)