広すぎて売りにくい土地

相続税評価額の減額特例対象に


 売却しやすい土地に共通するのは、立地が良く形がいびつでないことに加え、大きすぎず、かといって小さすぎない、すなわち〝程よい〞面積だということだろう。

 

 一般的に、都市部であれば100〜150㎡程度、郊外であれば150〜250㎡程度の面積の土地が売りやすいとされる。あまりにも広すぎる土地だと購入資金を用意できる人が限られてしまい、買い手がつきにくい。

 

 売却しやすくするためには土地を程よい大きさに分割するのが一般的だが、その際には区分けした土地ごとに道路の整備が必要となり、当然、整備費用が掛かる。また道路部分は売り物にはならないことから、200㎡の土地を5カ所相続する人に比べ、1千㎡の土地を1カ所相続した人は、受け取った土地の総面積は同じでも売却後に手元に残るお金が少なくなりやすい。

 

 そのため一定以上の広さの土地を相続や贈与で取得した人は、相続税や贈与税を計算する際の相続税評価額を減額できることが税法で認められている。同じ広さの土地でも形状によって売りやすさが変わるという実情に合わせ、いびつな形で使い勝手が悪ければ相続税評価額を大幅に減らすことができる。反対に正方形など使い勝手の良い土地は減額幅が小さくなるように設定されている。

 

 特例の対象となる土地は、三大都市圏あれば500㎡以上であるのに対し、それ以外であれば1千㎡以上と広く設定されている。この差は、地方は都市部と比べて地価が安く、ある程度広い土地でも買い手がつく可能性があるためだ。

 

 特例の対象となれば相続の際の負担を大きく減らせるので、例えば都内の土地の面積が500㎡にほんの少し満たない程度なら、隣接する土地を買い取って将来の相続に備えるというのも有効な対策だ。(2020/05/27)