居抜き物件の税務処理

残置物や設備は有償?無償?


 前に入居していたテナントが設置した設備など、残置物のある物件を賃貸契約するケースがある。いわゆる「居抜き」物件の賃貸借契約は珍しくない。

 

 オフィスであれば間仕切りや配線、机、椅子などの設備や備品がそのままだったり、飲食店であれば厨房設備や冷蔵庫などの設備を撤去せず、そのまま次のテナントが使ったりするケースもある。

 

 前テナントから残置物を引き継ぐ場合、有償で譲渡されるケースと無償で引き継ぐケースがあり、それぞれ税務上の処理が異なる。前テナントに購入代金を時価で支払った場合は残置物の購入代金を資産に計上する。無償で引き継いだ場合は、資産価値のあるものなら税務上は時価で譲り受けたものとして処理する。

 

 複数の資産を引き継いだケースでは、個々の資産の購入価額が10万円以下であれば一時の経費として処理できるが、10万円以上なら資産計上して、その使用可能期間にわたって減価償却することになる。前テナントとの譲渡契約の際、残置物の購入価額を「総額」で処理してしまうと個々の資産の取得価額が10万円以上かどうか分からなくなってしまうので注意が必要だ。(2021/03/05)