孫を養子縁組すると相続税が節税できることがある。法定相続人の増加によって、課税価格の合計額から差し引ける基礎控除額が上積みされるほか、生命保険の非課税枠が増加するためだ。
ただし、相続人が実子や配偶者(被相続人の1親等の直系血族)でないときは、その人の相続税額に20%が加算される。つまり、必ずしも税負担が減るわけではない。なお、子どもが死亡したときに、その子どもの子(代襲相続人)を孫養子にした場合は加算されない。
この20%加算は、相続税の最高税率55%を超えるときにも適用される。遺産額から基礎控除額を差し引いた課税標準額が6億円超で最高税率が適用されるとき、孫養子が課される相続税率は「55%+(55%×20%)」の66%になる。
なお、相続開始前3年以内に相続人に贈与された財産は相続財産とみなされ、相続税額の計算に含まなくてはならないが、孫に対する贈与は相続開始前3年以内の贈与であっても原則として相続税額の計算に入れる必要がない。
この点も孫関連の節税策のひとつとして覚えておきたい。養子の人数について民法上制限はないが、相続税の計算上では上限が定められていて、被相続人に実子がいるときは1人まで、実子がいないときは2人までとされている。(2016/08/10)