厚生労働省の人口動態統計によると、2016年に日本の役所に婚姻届を提出したカップルの30組に1組は国際結婚となっている。夫婦の組み合わせで最も多いのは、夫が日本人で妻が中国人のケースだそうだ。
中国人の妻の日本での相続を想定してみる。仮に中国出身の妻が、日本で遺言を残したいと考えたとする。しかしその妻は中国語でしか読み書きができず、日本語はほとんどできない。中国語で記した遺言書は有効なのだろうか。
結論から言えば、「自筆証書遺言」の要件を満たしていれば使用する言語は問われないので、全文が日本語以外の言葉で書かれていても問題ない。自筆証書遺言に法的効果を持たせるには、全文自筆、日付と氏名の記入、押印、変更履歴の記載をしなければならない。
また、公証役場で公証人が作成する「公正証書遺言」は、外国語で遺言の内容を口述して作ってもらうことも可能だ。ただし、必ず通訳が立ち会って翻訳し、それを基に公証人が日本語の遺言を作成する。(2018/06/01)