国内に住所があるか、または1年以上居所がある個人を所得税法上では「居住者」と規定し、それ以外の個人を「非居住者」と定めている。非居住者は国内で生じた所得(国内源泉所得)だけに課税される。
非居住者に給与を支払うときは、会社が税率20%で所得税の源泉徴収をしなければならない。しかし、日本政府と租税条約を結んでいる特定の国の留学生(非居住者)については、所得税の免除条項が設けられていて、源泉徴収する必要がない。
中国や韓国など条約を結んだ一部の国からの留学生は、事前の手続きで所得税の全部または一部が免除される。免除規定の適用には、留学生が「租税条約に関する届出書」を事業者に提出し、さらに事業者がそれを所轄の税務署に提出しなければならない。ただし、この手続きを忘れてすでに源泉徴収を行ってしまったときも、「租税条約に関する源泉徴収税額の還付請求書」を税務署に提出すれば還付が受けられる。
所得税が免除される留学生は大学・大学院などの学生に限られ、民間の日本語学校などの学生は対象とならない。また、本国への仕送りをするために学校に行かずにせっせとアルバイトに勤しんでいる留学生も対象にならない。(2016/09/14)