取引先の業績不振などの事情で貸付金や売掛金が回収できなくなったときは、税務上、貸倒損失として損金処理できる。
貸し倒れ計上できる売掛金などの債権は、法人税法基本通達で定められている。まず、会社更生法の適用で法的に債権が消滅したとき(法律上の貸し倒れ)は、その事実が生じた事業年度の損金として処理できる。
また、債務者の資産状況に鑑みて回収できないことが明らかであるとき(事実上の貸し倒れ)も、それが明確になった時点の事業年度での損金経理が可能だ。しかし、債権に担保物が設定されているときは、その担保を処分した後でなければ損金処理できない。
また、債務者の営業不振などが理由で1年以上取り引きが停止しているとき(形式上の貸し倒れ)は、その売掛債権を損金計上できる。ただし、貸付金などの金銭債権は、この「形式上の貸し倒れ」の対象にはならない。
なお、中小企業庁がとりまとめた会社倒産状況によると、平成28年1〜3月期の倒産件数は2144件、負債総額は4663億円となっている。(2016/06/17)