他人の不動産を自分の所有物であるふりをして、第三者に売却する詐欺師を「地面師」という。この地面師グループが、Aさんが持っていた空き地の権利証と委任状を偽造し、その土地を別の第三者に転売したとする。
登記名義が変わっていることを知ったAさんは、登記抹消を求める民事訴訟を提訴。無事、登記名義を回復することができた。この訴訟に掛かった印紙代や弁護士費用につき、Aさんは、一定金額の所得控除を受けられる「雑損控除」を適用できた。
雑損控除は、災害、盗難、横領で資産に損害を受けたときに適用できる。地面師グループによる不動産の侵奪は、不動産に対する他人の占有を勝手に排除し、自分のもの、あるいは第三者のものにしてしまう行為であり、「窃盗」の一種とされているのだ。
なお、雑損控除を適用できるのは、所得控除を受ける納税者自身の資産、もしくはその納税者と生計を一緒にする配偶者や親族でその年の総所得金額が38万円以下の人の資産だ。
2016年6月29日には、他人のアパートを自分のものと偽って売却し、代金をだまし取った地面師グループが逮捕された。東京・新宿区の千数百平方メートルの土地と建物を不正に取得していたという。(2016/07/20)