台風のときは定時前の帰宅を従業員に促すことがある。この場合、基本的には「ノーワーク・ノーペイ」の原則にもとづき給料を支払う必要はない。だが早退が会社の指示によるものであれば、それは「会社都合」となり、平均賃金の60%を休業手当として補償する義務が生じる。
例えば1日の所定労働時間が5時間の短時間労働者を、台風のため4時間で帰宅させたケースだと、4時間分の正規の賃金に加え、働けなかった1時間分の6割を足した額と考えがちだが、実は実働の4時間分だけの支払いでよいとされている。
60%というのは、あくまでも1日の平均賃金の6割という意味。所定労働時間5時間のうち、4時間分(80%)が支給されているため、支払義務を満たしていることになる。もちろん、これはあくまでも「会社都合」であることが条件で、従業員から「早く帰りたい」という申し出があれば「従業員都合」となり、会社に6割の補償義務はない。(2020/09/04)