取引先の業務拡大や新店舗のオープンといった慶事に伴い、お祝い金を贈るときがある。
この祝い金は、税務上では「寄付金」ではなく、「交際費」として処理する。交際費は、得意先への接待、供応、慰安、贈答などの行為のための支出をいう。
一方の寄付金は、金銭、物品などの経済的利益の贈与、あるいは無償の供与のことだ。この原則を基に、具体的な支出目的や事業との関連性の具合に照らし合わせて判断する。
冒頭のケースでは、現金を贈与する行為ではあるが、事業上の付き合いのための取引先への支出であることから、税務上は寄付金ではなく交際費として処理する。
寄付金と交際費には損金算入限度額がそれぞれに定められていて、控除制度も異なる。その区別を誤ると税額が本来と違ったものになってしまい、税務調査で問題点を指摘されるおそれも出てくる。
しかし、このふたつの項目は間違えやすい。そのため、国税庁はウェブサイト上に「交際等と寄附金との区分」といったコーナーを設けてその区別の仕方を解説している。なお、社会事業団体や政治団体に対する拠出金、神社の祭礼の寄贈金など、事業と関連がない相手への金品の贈与は原則、寄付金となる。(2016/09/10)