別棟も含めて特別控除可能

「付属的建物」と合わせ自宅売却


 Aさんは自分の土地に3棟の家を持ち、それぞれにAさん夫婦、母親、そして妹夫婦が住んでいた。母親が住んでいる家にはキッチンや風呂がなく、毎日、Aさん夫婦の家で食事や入浴を済ませている。一方、妹夫婦はキッチンも風呂もある家に住んでいて、Aさんと顔を合わせない日も多い。Aさんは母親からも妹夫婦からも家賃は受け取っていない。

 

 この土地と建物の全てをAさんが売却し、3千万円の譲渡益が出たとする。マイホームの売却で得た利益は特例として最高3千万円まで所得から控除できるため、Aさんは全額を控除しようとしたが、ふと「控除できるのは自分が住んでいた家の分だけだよな」と思い、母親と妹夫婦の家の分の売却益は控除しなかった。

 

 この判断は一見正しいようだが、じつはAさんは納める必要のない税金を納めてしまっている。マイホームの売却益を所得から最大3千万円控除できる特例は、原則として自分が住んでいた建物1棟だけに適用できる。しかし別の建物が、自分が住んでいた家の「付属的建物」であれば、一体の家屋としてまとめて控除対象になる。

 

 Aさんのケースでは、単独で通常の生活が成り立っていた妹夫婦の家は適用できないが、そうではなかった母親の家は付属的建物に当たり、Aさんの家と併せて適用対象になる。Aさんは確定申告後にそのことを知り、母親が住んでいた建物分も更正の請求によって控除対象に含め、納め過ぎていた税金を取り戻したという。(2018/05/29)