事業を切り離して別の会社で運営する「分社化」によって税負担を抑えられる可能性がある。中小企業の法人税率は23・2%だが、所得800万円までの部分に対する税率は15%に軽減されている。そのため、分社化すれば15%税率をそれぞれの会社が適用できる可能性がある。
さらに損金算入できる交際費や少額減価償却資産の上限額も必然的に倍増する。消費税についても、新会社の資本金を1千万円未満にすれば、原則として設立から2年は納税免除される。
また社長に複数の子どもがいれば、分社化することで、子どもそれぞれに別の会社の経営を任せるということもできる。経営権を巡って子ども同士が争う事態を避けることが可能だ。
とはいえ、分社による法人税の節税効果は、継続的な利益が出ることが前提となる。赤字であれば節税効果がないうえ、法人住民税の「均等割り」という税金が会社の数だけ増加して負担が増えることもある。そしてあくまでも、それぞれの会社に事業の実態がなければならない。実態がないのに帳簿上で処理しただけでは、税務調査で税逃れのための工作とみなされてしまう。新会社の契約書・請求書や口座をきちんと作り、必要に応じて社員を転籍させるといった対応は欠かせない。(2019/11/06)