自分が死んだときに法定相続人になるのが配偶者と自分の兄弟姉妹だけなら、遺言書によって全財産を配偶者に残すことが可能だ。
財産の分け方の基準は、民法に「法定相続分」として定められている。兄弟姉妹が法定相続人になるのは、被相続人に子や孫、親や祖父母がいないときに限られる。そして、配偶者と被相続人の兄弟姉妹が相続人なら、配偶者は全財産の4分の3、兄弟姉妹は残りを受け取る。兄弟姉妹が複数いれば4分の1のなかで均等に分け合うというのが民法による基準だ。
だが、この分割割合は絶対的なものではなく、被相続人が遺言書を残していればその内容が優先される。遺言書には法定相続人以外の人に財産を渡す内容を記すこともできるが、法定相続人には「これだけは相続できる」という最低限の取り分である「遺留分」が保障されていて、それを下回る財産しか受け取れなければ、遺留分までを渡すようにほかの相続人に請求できる。
しかし、被相続人の兄弟姉妹には遺留分がない。そのため、配偶者に全財産を譲る内容の遺言があれば、兄弟姉妹は取り分を請求することはできなくなる。なお、遺留分を請求できる相続人が配偶者だけのときの最低保証分は財産の半分だ。(2017/01/15)