相続人が受け取れる財産は、死亡した人(被相続人)が残した相続財産を基に計算するが、相続人が生前に婚姻や生活のためのまとまった資金を受け取っていれば、その生前贈与分を考慮したうえで遺産を分ける。生前に受け取った特別受益になるのは、①遺贈、②婚姻や養子縁組のための贈与、③生活の資本としての贈与――と民法に定められている。
生活資金の贈与が特別受益になるといっても、親の自宅に同居していた未成年が少額の生活資金を受け取っているようなときは、特別受益があったものとみなされず、相続分が減ることはない。親が子を扶養することや、高額ではないお小遣いを渡すことは一般的なこととみなされているためだ。
一方、働けるはずの成人が親に頼りきりで生活の援助を受けていたのであれば、その援助分が相続できる額から差し引かれる可能性は否定できない。(2016/12/31)