賃貸アパートの収入の多寡によっては、個人よりも不動産管理会社として経営した方が節税できる可能性がある。
不動産管理会社を設立し、個人が受け取る賃貸収入の一部を法人に支払うと、所得税の適用税率が低く抑えられる。所得税は収入が増えるほど適用税率が高くなる「超過累進税率」なので、高額所得者ほど税負担は重い。賃貸収入のすべてを個人の所得とはせず、一部を不動産管理会社へ管理料として支払えば、賃貸収入が分散するので個人所得税の適用税率を抑えられる。
掛け捨ての保険料など多くの費用を損金にでき、儲けを圧縮できるのも法人化のメリットだ。また、個人経営だと、生計をともにする子どもらに給料を支払っても必要経費にできる金額は限られているが、法人なら過大な給与でない限り、給料の全額を損金にできる。さらに、個人経営では自分に給与を支給できないが、法人では役員報酬として受け取れる。また、アパートの家賃をオーナー一人の所得にするのではなく、役員である配偶者や子に給与として支払えば、相続財産の大幅な削減にもつながる。
不動産管理会社は、専門の会社を新規に立ち上げるか、あるいは不動産オーナーが現に経営している会社の定款へ不動産管理業を付け加えることで事業をスタートできる。また、不動産管理会社がアパートを管理するだけではなく物件そのものの所有者になれば、収益が会社のものとなるため、さらに相続財産の削減効果が高まる。(2017/02/06)