休眠預金の民間活用

10年放置で「死蔵」扱いに


 預金者本人と連絡が取れなくなって10年以上が経つ「休眠預金」を福祉や地方活性化に活用する取り組みがスタートした。持ち主が放置したまま〝死蔵〞したお金を民間事業に流用することで〝生き金〞にする狙いだが、たとえ自分の預かり知らないところであっても、お金が他人に勝手に使われることには抵抗を覚える人もいるだろう。

 

 休眠口座の定義は、金融機関が預かって10年以上出入金の動きがなく、口座の所有者にも連絡が取れない預金だ。普通口座だけでなく、長期間放置することの多い定期預金や金銭信託も含まれる。その多くは預金者が亡くなるなどして引き出されなくなるケースで、年間に700億円程度発生しているという。

 

 口座の入出金や残高照会などの取引が行われてから9年以上経つと公告が行われ、さらに1万円以上の残高があれば登録された住所へ通知が届く。この時点で気付いて何らかの取引を行えば休眠預金とはならない。また住所変更などで通知が届かずに10年が経過し、休眠預金として民間流用された後でも、口座の存在に気づきさえすれば、本人確認書類などをそろえて手続きをすることで預金を引き出すことは可能だ。

 

 だが一度休眠預金に移管されてしまうと、払い戻しを受けるためには古い通帳や本人確認書類を用意しなければならず、煩雑な手続きが必要となる。休眠扱いされないためには、普段から保有口座の管理を心掛けたい。(2019/01/24)