年間にかかった医療費のうち10万円を超えた部分を所得から差し引ける「医療費控除」。医療費といっても、その費用はあくまで病気やけがの治療に必要な支出でなければならず、インフルエンザのワクチン接種など予防にかかった費用は対象とならない。
人間ドックや健康診断も同様で、疾病の治療に伴う出費ではないため、原則として医療費控除の対象にはならない。ただし、検査を受けた結果、治療を必要とする疾病が発見されると、その費用は医療費控除の対象となる。
病気が見つかった場合、その検査は治療に先立って行われる診療と同様のものとみなされ、全額が医療費控除の対象となる。会社が人間ドックの費用を負担した場合、全従業員(一定の年齢以上のすべての者の場合も可)を対象としたものであれば福利厚生の一環として損金に算入できるが、一部の役員のみを対象とするような検診であれば役員報酬扱いとなり、役員本人には所得税が課される。(2019/11/25)