経済産業省の統計によると、LEDランプの市場出荷額は430億円で、蛍光ランプやHIDランプを含む光源類市場全体の24%を占める(2018年度)。
旧型の蛍光灯を使っていた事業所が全てLEDに取り替えるとすると、ワンフロアだけでも数十万円の出費を覚悟しなければならない。その購入費用が、一度に損金にできる「修繕費」になるのか、あるいは資産の種類に応じて数年に分けて償却しなければならない「資本的支出」になるのか、判断に迷うところだ。
国税庁は修繕費を「資産の維持管理や原状回復のための費用」、資本的支出を「使用可能期間を延長させ、価値を増加させる費用」とそれぞれ定義付けているが、その線引きはあいまいな部分も多い。
通常の蛍光灯をLEDランプに替えれば、節電効果や使用可能期間は一般的に向上するので、資本的支出の条件に当てはまるようにも見える。しかし国税庁のホームページ上の質疑応答事例では、LEDを「照明設備が効用を発揮するためのひとつの部品」と位置づけ、部品の性能が上昇したことをもって照明設備としての価値が高まったとは言えないという理由で、修繕費に該当するとしている。
質疑応答事例の回答要旨では「資本的支出に該当するのではないかとも考えられますが」としたうえで修繕費になるとしており、国税当局にとっても難しい判断であったことがうかがえる。国がLEDの普及を推し進めるための解釈だといえる。(2020/04/13)