中古のアパート物件などは、すでに店子が入っていることが多く、購入を検討する際に部屋の現況を確認できないケースがある。そのため、建物にどんな不具合が隠れているか分からず、買ってみてはじめて重大な欠陥に気付くことも珍しくない。購入後、瑕疵担保責任期間を経過してから不具合が見つかれば、修繕のための費用が発生し、投資前に見込んでいた利益がすべて吹き飛んでしまう恐れも否定できない。
過去には個人投資家が購入した2億円の鉄筋コンクリートの物件で不具合が判明し、水道管を引き直すのに5千万円もの追加工事費が発生したケースもあるという。
こうした不具合を伝えなかった売主の不誠実さをうらむのは簡単だが、そもそも不良物件をつかまないためには何をすべきか考えるべきだろう。中古物件の修繕リスク対策の一つとしては、一級建築士などの専門家による事前調査を行うことが考えられる。その際には特に屋上防水、外壁塗装、給水管や排水管などの配管関係、エレベーター、耐震性能、建物の傾きをチェックしたい。
これらの修繕費用は高くつく傾向にあるだけでなく、不具合の場所や種類によってはそもそも修繕の手を入れられない可能性もある。事前調査によってそうした不良物件を見抜くことが可能だ。
仮に修繕すべき点が見つかったとしても、出費を上回る収益性が期待できるなら、あえて購入するのも一つの選択肢だろう。また事前調査と併せて、建物の修繕履歴を把握することも重要だ。過去に雨漏りや漏水をしたことはないか、どんな修繕をしてきたか、エレベーターの保守状況はどうかといった点を売主に確認することで、リスクの度合いを推し量ることができる。
例えば、一度も屋上防水の工事をしていなければ、雨漏りが起きる恐れがある。取得後に発生するコストの問題、物件の素性を知ること、さらには取得後の修繕計画を立てるという意味でも、修繕履歴を把握することは大切だ。(2019/01/09)