不動産を売却して他人の借金を返済

譲渡所得の特例


 土地や建物を売却したときの利益は所得税の対象だが、連帯保証人として背負った他人の借金を返済するために不動産を売ったときは、税務上では「所得がなかった」とみなす特例があり、譲渡所得に課税されない。

 

 特例を受けられるのは、本来の債務者に債務弁済能力がないときや、失踪しているときなど、将来的に債権者が債権回収できる見込みがなくなったときだ。本来の債務者に弁済能力があるのに債権者が債権回収をしないときは、不動産を売却してもこの特例は受けられない。

 

 譲渡所得(譲渡益)がなかったとみなされる金額は、①肩代わりした金額のうち回収できなくなった金額、②弁済した人のその年の総所得金額の合計額、③売った土地・建物の譲渡額――のなかで最も低い金額。

 

 この特例が適用されるのは、連帯保証人として背負った借金を返すときだけではなく、保証人や身元保証人としての債務弁済、連帯債務者としてのほかの債務者の債務弁済、他人の債務担保のために抵当権を設定した人の債務弁済・抵当権実行のときも対象になる。(2016/09/26)