物々交換は所得税の課税対象になる取り引きだ。例えば100万円の物同士で交換すると、税務上では両者に100万円の収入があったとみなし、元の品物を入手するために掛かった費用との差額で税額を計算することになる。
だが、土地や建物の物々交換に限っては、特例によって課税対象にならないことがある。過去に7千万円で取得した時価1億円の土地で単純計算すると、通常の税額は、3千万円の利益に対して所有期間が5年超なら「長期譲渡所得」(所得税と住民税の合計税率20・315%)で610万円、5年以内なら「短期譲渡所得」(同39・63%)で1189万円にもなる。
だが、不動産の物々交換の特例を適用すると納税額がゼロになる。特例を適用できる不動産は、交換した双方がともに1年以上所有していた固定資産に限られ、不動産業者の売却用の資産は除かれる。また、交換する不動産同士の価値に2割を超える差があると特例の対象外になる。そして、居住用や工場用といった用途を交換後に変えると適用できない。ただし、交換相手が仮に別の用途に使っても、特例を利用しようとする人が用途を変更しなければ税負担をゼロにできる。(2018/06/25)