ログインできない仮想通貨に課税

パスワードも忘れずに遺言


 ビットコインへの投資でまとまった額の資産を形成したAさんが亡くなった。家族は、仮想通貨による利益にも税金がかけられることをニュースで知っていたため、Aさんが残していた帳簿などを基に、ビットコインの保有額も相続財産に含めて申告することにした。

 

 しかしここで問題が発生する。仮想通貨を動かすためには当然、インターネットから仮想通貨取引所に設けられたAさんの口座にログインしなければならない。しかし家族はそのアカウントやパスワードなどが分からないのだ。

 

 国税当局では「相続人がパスワードを知らない場合であっても、相続人は仮想通貨を承継することになるため、相続税の課税対象となる」と説明している。その理由は、「本当にパスワードを知らされていない」ことを、課税当局としては確認しようがないためだ。

 

 仮想通貨交換業者はこうした場合、遺族の求めに応じてパスワードを教えてくれることがほとんどだという。しかし例えば、それが法律上の家族ではなくても同様に対応してもらえるのかなど、さまざまな課題は残る。遺言書には仮想通貨を所有していることと、その「パスワード」なども書き加えておくべきだろう。(2020/10/07)