現在のような眼鏡が使用されるようになったのは13世紀のヨーロッパで、教会で古文書の編纂にあたる一定の地位の人が用いていたそうだ。目に直接レンズを入れるコンタクトレンズは19世紀に製品化されたが、そのアイデアを考案したのはレオナルド・ダ・ヴィンチともいわれている。そして1990年代になり、目の表面の角膜にレーザーを照射して曲率を変えることにより視力を矯正するレーシック手術が登場した。
ときに重大な後遺症が報告されることもあるが、片目につき15分程度の手術で視力が回復するというのだから、眼鏡の煩わしさから解放されたい人にとっては画期的な治療法だ。しかし、レーシック手術は保険適用外の自由診療のため費用もそれなりに高価なので、せめて医療費控除だけでも適用したい。
これについては、国税庁が過去に見解を示している。レーシック手術は、「眼の機能それ自体を医学的な方法で正常な状態に回復させるものなので、その費用は、医師の診療または治療の対価に該当する」として同控除の対象となること明らかにしている。同様に、近視などの角膜の屈折異常を特殊なコンタクトレンズを装用することにより正常化させて視力を回復させる「オルソケラトロジー治療」についても同控除の適用対象となる。
では、近視の人にとって最もなじみ深い「眼鏡」の購入費はどうかというと、同控除の適用対象外。眼鏡は日常生活の必要性に基づき購入されるものであり、視力を回復させる治療の対価ではないとの理由からだ。ただし、斜視、白内障、緑内障などで手術後の機能回復のため短期間装用するものや、幼児の未発達視力を向上させるために装着する眼鏡など、「治療のために必要な眼鏡」として医師の指示で装用するものは、「医師による治療の一環として直接必要な費用」ということで同控除の対象となる。
なお、日本に眼鏡をもたらしたのは1551年に来日したイエズス会の宣教師フランシスコ・ザビエルだという。(2018/06/19)