ホステスさんの報酬

「5000円×全日数」を控除


 国税庁によると、法人税調査で不正が発見される割合が最も高い業種は「バー・クラブ」となっている。2016年度は調査対象のうち62・5%で不正が発見され、次いで割合が高かった「外国料理店」の45・3%、「大衆酒場・小料理店」の37・7%などを大きく引き離した。上位の業種は基本的に現金商売で、売上や源泉徴収額を操作しやすいようだ。

 

 店がホステスに支払う報酬のうち源泉徴収の対象になるのは、通常報酬に加え、「指名料」の多寡に応じた報奨金、衣装代、深夜に帰宅する際のタクシー代などの合計額だ。ちなみに衣装代のうち、バーやキャバレーでしか使用できないようなデザイン・色調のものは、その費用分の源泉徴収が不要とされている。

 

 ホステスに支払う報酬の源泉徴収額の計算法は特殊で、通常なら支払う額に応じて単純に徴収額を決めるが、ホステスについては、まず報酬から「5千円×その期間の日数」を差し引く。そのうえで、所得税と復興特別所得税を合わせた税率10・21%を掛けて算出する。ここで使う計算期間の日数は、営業日数や出勤日数ではなく、その期間の初日から末日までの全日数をいう。9月であればカレンダー通り30日を乗算することになる。

 

 ホステスが1日当たり5千円を所得から控除できるのは、衣装代や美容のための費用、深夜のタクシー代などの〝必要経費〞が高額になる傾向があるためと言われている。(2018/09/06)