現行法では法的に親子の縁を完全に切る方法はない。結婚、養子縁組などで戸籍が分かれても、実の親との法律上の関係は変わらない。
実質的に「親子の縁を切る」ということはあっても、法的には相続対象者であり、また生活扶養義務も存在する。困窮した親の扶養を子どもが放棄した場合、親は家庭裁判所に申し立てることも可能だ。
親が生活保護を申請すると、福祉事務所から子どもに扶養照会文書が送られてくる。現状で親子の関係を否定する制度としては、養子縁組や摘出否認などがあるものの、やはり「親子」の関係を完全に断ち切ることはできない。
例外として、6歳までの子どもを対象とした特別養子縁組では親子関係がなくなる。しかし、これは「勘当」の概念とは全く異なる。「勘当」に近い唯一の制度として存在するのは「推定相続人の廃除」だろう。相続人となる子が、財産を残す親に対して虐待や重大な侮辱を与えるほか、激しい浪費癖があるなどと家庭裁判所が認めると、当該人は遺産相続の権利を失う。(2020/09/28)