サイフ届けた謝礼金は一時所得

50万円以下は非課税


 落し物を交番に届けると、落とし主から1割のお礼をもらえる。一般論としてそのように語られることが多いが、落し物に関する法律である「遺失物法」では、落とし主に対して要求できる謝礼金(報労金)は拾得物価額の5〜20%とされている。一般に「1割」といわれるのはその間をとったものであるそうだ。

 

 落とし主から受け取った謝礼金は一時所得になる。一時所得は営利を目的にする継続的行為で得たもの以外で、労務・役務や資産譲渡の対価ではない所得が該当する。

 

 一時所得の金額は、「収入-収入を得るために支出した額-特別控除額(最高50万円)」で算出する。つまり、ほかに一時所得がなく、落し物に対する謝礼金が50万円超でなければ、一時所得はゼロになる。

 

 謝礼金が50万円を超えるような落し物を見つけることなど、なかなかないだろうが、もしそのような経験をすることがあれば、この点を思い出したい。

 

 なお、総所得税額を計算する際は、一時所得の2分の1を、給与所得などほかの所得と合計して金額を求める。所得税法では所得の種類を10種類に区分し、黒字を赤字と相殺できる「損益通算」が適用可能なものや、特別控除額が設けられているものなど、税務上の処理方法を区別している。なお、10種類のうち原則的に損益通算できるのは「不動産所得」「事業所得」「山林所得」「譲渡所得」の4つで、税理士試験の受験生などはこれらのアタマの文字をとって、「富士山上(ふじさんじょう)」と覚えるそうだ。(2016/06/09)