ゴルフはスポーツにあらず!?

五輪正式種目化で税廃止の声も


 日本には様々な税目があるが、世界的にみて珍しい税の代表格は「ゴルフ場利用税」ではないだろうか。都道府県税のひとつで、税収の7割はゴルフ場が所在する市町村(特別区含む)に交付される。ゴルフ場の経営者(特別徴収義務者)がゴルフ場の利用者から都道府県に代わって徴収し、納入する義務を負う。18歳未満、70歳以上、一定の障害がある人は非課税とされている。また、国体や学校行事での利用も非課税となる措置がある。

 

 税率の基準は各都道府県により異なり、利用料金やゴルフ場の規模などの等級に応じて課税される。ちなみに東京都であれば1級(1200円)から8級(400円)となっている。

 

 スポーツにかかる税金として廃止を求める声も根強いが、その課税根拠となっているのは、応益負担と贅沢娯楽の考え方だ。応益性については、ゴルフ場に係る開発許可や道路整備などの行政サービスは、主にゴルフ場利用者に帰属することから費用を負担させようとするものだ。贅沢性は、ゴルフ場の利用は他の一般レジャーに比べて費用が高いということから、ゴルフ場の利用者は高い担税力があるとする考え方だ。

 

 ゴルフ場利用者がお金持ちかどうかは議論もあるところだろうが、道路整備などは自動車やガソリン関係の税金で賄っているものであり、またゴルフ場の利用者だけに負担義務があるというものではないだろう。

 

 しかしそれ以前に、日本では基本的にスポーツに対して税金をかけないという原則がある。民間のスポーツ施設に国や行政が税金をかけることは他のスポーツでは考えられない。そこで問題となるのが「ゴルフはスポーツか否か」だが、かつての裁判では、「ゴルフにはハンディキャップというものがある以上、スポーツではなく単なるゲームとすべき」と判断した例があり、現在でもこの判決が課税の大きな根拠になっている。

 

 ただし、オリンピックでも正式種目となったからには、かつての判例だけをもって「スポーツにあらず」と決めつけるのは無理があるだろう。同税の19年度の税収は447億円(うち市町村への交付額315億円)と、自治体にとって大きな財源になっているのは確かだが、課税のありかたについてはあらためて考える時期にきているのかもしれない。(2020/09/11)