コロナ禍で重負担 クルマの税金

納税猶予特例も焼け石に水


 自動車税は毎年バカにできない負担だが、新型コロナウイルスの感染拡大によって手元資金が厳しい今年は、例年以上に重負担に感じたことだろう。収入が減った人が利用できる納税猶予特例の対象に自動車税も含まれているとはいえ、最終的に全額を納めなければならないことに変わりはない。

 

 昨年10月の消費税増税時に自動車取得税が廃止されたものの、新税である環境性能割が導入され、一部の旧車では税負担が増えている。自動車税も古いクルマには高税率が課される。近年の〝エコカー優遇〞は、自動車メーカーと国がタッグを組んでの新車買い換えキャンペーンなのかと勘繰りたくもなってしまうだろう。

 

 現行制度では、クルマはその取得、所有、走行時に合わせて複数の税金が課されている。まず取得時には、クルマの代金にかかる消費税、自動車重量税、環境性能割、自動車税(軽自動車税)と、合計4種類の税金がかかる。さらにそのうち自動車税(軽自動車税)はクルマを保有し続けるかぎりは毎年かかり、自動車重量税も2年ごとの車検時に納めなくてはならない。

 

 さらに燃料代にはまたもや消費税が課され、さらに揮発油税、地方揮発油税が含まれている。これはディーゼル車なら軽油引取税、LPG車なら石油ガス税になる。つまり普通のガソリン車を走らせているだけで、重複を含めて取得時4税、保有時2税、走行時3税と、合計9つの税金を納めているわけだ。

 

 公共交通機関の発達していない地方などでは、クルマは家に次ぐ生活必需品であることも多い。必需品にこれだけの税金がかかるのはおかしいと、自動車業界は昔から抜本的見直しを求めているものの、その声は反映されてこなかった。しかし最近では、自分で自動車を持たずカーシェアやレンタカーで済ませる層が増えたことから、自動車の「所有」から「走行」に課税体系をシフトしようという動きもあるようだ。(2020/07/29)