賃貸経営用のアパートを贈与するときに、建物だけを譲り渡して敷地の所有権は変更しなければ、敷地分の贈与税負担を負わせずに、家賃収入所得を子どもに移転できる。
生前に所得を子どもに移転させれば、相続税の課税対象になる相続財産から家賃収入を除外できる。ただし、土地を無償で貸して利活用が終わった後に返還を受ける契約(使用貸借契約)を結ぶと、その土地の評価は「更地」として判断され、評価額を下げられる「貸家建付地」に該当しなくなってしまうことに気を付けなければならない。
また、アパートの贈与では、相続時精算課税制度を利用することも選択肢になる。制度を利用すると贈与財産2500万円までは税金が掛からず、2500万円を超える部分には一律20%が課税される。相続発生時には相続財産と生前贈与財産を合計して相続税額を計算し、すでに納めた贈与税分を差し引いた額が相続時の納税額となる。
なお、相続時精算課税制度を使った贈与であっても、アパートと借入金を一緒に贈与(負担付き贈与)したときは、土地と建物は相続税評価額ではなく時価での評価になることを知っておく必要がある。時価評価は一般的に相続税評価額よりも高くなるので、税負担が増すことになる。(2016/10/23)