相続税の節税を目的にローンを組んで土地を購入し、アパートやマンションを建設する。そうした投資が節税につながるのは、相続税を計算する際の評価額は建物も土地も基本的に通常の取引金額より低くなるためだ。
アパート建設のために銀行で1億円のローンを組み、土地を購入して建物を建てた場合に、土地と建物の評価額が7千万円程度とされれば、これだけで相続財産が3千万円減ることになる。相続税の申告にあたっては、建物は貸家の評価減、土地は貸家建付地の評価減などで、さらに評価額が下がることが見込まれる。
実際に3割以上の資産圧縮効果が望めるのならば、ローンの利息分を考えても取り組んでみる価値はあるだろう。ただし、その効果はずっと続くわけではない。その理由は家賃収入だ。建物の評価額は年ごとに下がるものの、それ以上に家賃収入があれば節税効果分を埋めてしまうことになる。アパマン建設による節税効果は家賃収入や経費支出などにより変わるので、長期的な計画が必要になる。
一般的な節税策に加え、アパマン建設では、親が社長となり、その会社が借金をしてアパートを建設し、子を株主とするパターンもある。ポイントは親の信用で借金をするので、子がまだ若いときに実行しやすいことと、家賃収入が会社に貯まるので、それが株主である子の財産となり親の財産が増えない点だ。
しかし、これだけでは親の財産を増やすことも減らすこともないので、節税のためにはほかの方法を組み合わせる必要がある。どのような仕組みでアパマン経営を行うかは、親の財産規模や年齢などの条件で変わってくるだろう。
また、土地の評価額が変わることと、貸家に使える小規模宅地の特例の適用から外れてしまうことなども考慮しておく必要がある。何よりも、借金を抱えて取り組むのだから、節税のためとはいえ、あくまでもアパマン経営者であるという自覚が必要だ。(2018/10/04)