印紙税は一定額を超える商取引で交わす「文書」に課税されるものであり、「取り引き」に課税されるわけではない。この点が印紙税を考えるうえで重要なポイントとなる。
例えば契約書を交わす際に「2通作成して甲乙ともに1通ずつ保管する」とあれば、2通の文書それぞれに印紙税が掛かる。これに対して、「1通作成して甲が保管する」という話なら1通分の印紙で済むことになる。
また、不動産などの売買で仮契約書を締結した後に本契約書を交わすと、「仮」と「本」の両方に印紙税が課税される。取り引き自体はひとつだが、取り交わした文書の数だけ印紙税の課税対象になることが分かる。
つまり、作成する課税文書の数を減らせば印紙税の節税になるというわけだ。もし印紙税の納付忘れを税務調査で指摘されると、納付しなかった印紙税の額に加え、その2 倍の金額のペナルティーが加算される。結果的に過怠税は3倍になるということだ。また、調査を受ける前に自主的に「印紙税不納付事実申出書」を提出すれば、本来の税額とその1割のペナルティーで済む。この場合は1.1倍で済むわけだ。貼り忘れに気付いたら早めに対応した方が無難だろう。(2018/01/16)