親を住まわせている家の住宅ローン

親孝行でも控除の対象外


 日本では「25歳から34歳」の年齢層の42%が親と同居しているという。これは世界で7位という高い割合らしい(山田昌弘著『パラサイト・シングルの時代』)。

 

 このなかには、「親離れできない、自立できない子ども」が数多く含まれている。その一方で、子どもが自分名義でローンを組んで家を購入し、両親と一緒に住んでいるケースもある。

 

 このケースで、子どもが住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)を利用していたとする。その後、子どもは結婚してその家を出ることになり、新たに自分の家を建てて暮らしはじめた。しかし、両親とは別居したものの、親が住み続けている家のローンは現在も払い続けているという。

 

 この場合、親を住まわせている家の分の住宅ローン控除は打ち切られることになる。住宅ローン控除は、基本的にローンを組んだ本人が、その年の12月31日までずっと住み続けていなければ利用できない。ローンを支払い続けていても、別の家に住んでいるのであれば控除の対象にはならないわけだ。

 

 また、特別控除を受ける年の所得が3千万円以下であることも要件のひとつとなっている。なお、所有者が単身赴任で家を離れていても、配偶者や子どもが住んでいれば制度の利用は可能。また、転勤で制度の適用対象者でなくなった人が、転勤が終わって再度住み始めたときは、残存期間に基づいて住宅ローン控除制度を再び利用できる。(2019/05/17)