法定相続人には年齢条件がないため、たとえ生まれたばかりの赤ちゃんでも立派な相続人だ。さらに、お母さんのお腹の中にいる胎児であっても、民法の規定により「既に生まれたものとみなす」として相続権は与えられている。ただし、死産になるとその権利は失われる。
相続人であるからには乳幼児も胎児も一個の人格を持つ。ただし、遺産分割協議書の作成にあたっては、その子に代わって親が協議書にサインするわけにはいかない。同じ財産を巡って親と子どもの利害が対立することもあるからだ。とはいえ、ペンも握れない乳幼児では署名捺印できない。そのため協議書作成の際には、家庭裁判所に特別代理人の選任を申し立てなくてはならない。
相続税の申告では、胎児であるのか、出生後なのかで手続きが違ってくる。申告期限までに胎児が出生していれば、通常通りに相続税の申告を行う。なお、胎児の申告期限については法定代理人が「胎児が生まれたことを知った日の翌日」から10カ月以内とされている。
一方、申告期限までに出生していなければ、胎児はいないものとしていったん各法定相続人の相続税を計算して申告し、出生後、生まれた子どもの法定代理人が10カ月以内に申告することになる。その他の法定相続人は、相続税の計算をし直して4カ月以内に更正の請求を行う。(2019/08/16)