社長が自社に不動産を無償譲渡した際は、社長個人には譲渡所得税、会社には法人税が課税される。仮に提供した資産が現金なら譲渡所得は発生しないのだが、株式や不動産であれば、たとえ無償譲渡であっても時価からその取得価格を控除した金額が譲渡益とみなされ、所得税が課税されてしまう。
一方、社長から不動産を譲渡された会社側は、不動産の時価を受贈益として益金の額に算入する。黒字の会社であれば法人税が課税されることになる。なお、社長以外に株主がいれば、無償譲渡を受けた会社はその利益の分だけ価値が増加して株価が上がるので、ほかの株主には贈与税が課税されることがある。
社長からの私財提供による受贈益を繰越欠損金で相殺できるのであれば法人税は課税されない。繰越欠損金を上回る受贈益がある会社は、私財提供を譲渡ではなく増資として計上するか、社長個人からの借り入れにするなどの方法により、法人税額を抑えることを検討するべきだろう。(2019/12/23)