相続税は、自分の分だけを納税すればいいとは限らない。自分以外の相続人が何らかの理由で納税できなくなったときは、「連帯納付義務」によって他の相続人に納税義務が生じるためだ。
税務署は、相続税を納めない人の資力を調べ、催促や差し押さえをした上で納税が不可能だと判断すると、同じ被相続人から相続した他の相続人に支払いを求めることになっている。連帯納付義務による相続税は延納が認められない。真面目に納税した相続人は、理不尽な思いにかられるだろうが、言われるままに払うしか選択肢はない。
これを防ぐ対策としては、相続税の納税が滞る可能性のある相続人に、あらかじめ相続財産を渡さないことしかない。例えば、ギャンブルなどで相続財産を使い込むような人、相続財産を多額の借金の返済に充ててしまいそうな人などが相続人の中にいれば、相続人のリストから外すことだ。
とはいえ、浪費癖のある人が相続人から外されることに素直に従うかどうかは疑問だ。結局、滞納後に「仕方がないか…」と、家族がため息をつくことが多いのが現状だ。(2017/12/13)