相続放棄で死亡保険金はどうなる?

受取人を誰にしているか


 全国の家裁に持ち込まれた相続放棄事件の受件数は、1993年には5万8490件だったが2015年には18万9381件と、3倍以上に増えている。

 

 相続放棄すると、死亡保険金はどのように扱われるのだろうか。相続放棄の対象になるのは「被相続人の財産」に限られるため、相続人を受取人とする死亡保険金は、相続放棄をしても受け取ることが可能だ。保険金は被相続人の財産ではなく、あくまでも相続人固有の財産であるためだ。

 

 だが、保険金の受取人を被相続人自身としていた契約であれば、死亡保険金も相続財産の一部であるため、相続放棄をした相続人は結果として生命保険金を受け取ることはできない。

 

 死亡保険金は、実際には相続財産ではないのだが、相続財産とみなされて相続税が課税される「みなし相続財産」という扱いにされている。そのため、相続放棄をした人でも死亡保険金についての相続税は納める必要がある。

 

なお、遺族年金や会社の支給規定に基づいて支給される死亡退職金も、生命保険金と同様、通常は相続財産にはならず、相続放棄をしても受け取ることが可能だ。死亡保険金は「500万円×法定相続人の数」までが非課税となり、この「法定相続人の数」には、相続放棄をした人も含まれるので覚えておきたい。(2019/09/20)