納期限までに納税しないと税金の「滞納者」と呼ばれるが、納期限を1日でも過ぎてしまった途端に「滞納者」になるわけではない。
納期限までに払わずにいると、まずは税務署から「催告」される。この時点ではまだ「未納」という扱いで、「滞納」とはされない。そして未納のままさらに納付に応じないでいると、今度は正式に「督促状」が発送され、これをもって「未納」が「滞納」となる。
滞納が未納と大きく異なるのは、滞納と判断された時点から滞納処分の手続きに入ることだ。滞納処分には、「調査」「差押」「換価」「配当」の4つの過程があり、いずれも税務署側の強い権限によって淡々と進められる。
滞納処分の第一段階での税務署による調査、そして調査に基づく差し押さえによって現金や売掛金などが差し押さえられる。加えて、滞納している税金本体以外に延滞税を追加で支払わなければならないので、そのダメージは大きい。
滞納した税金を納めることができなければ、差し押さえられた財産は「換価」される。つまり競売にかけられ、その金額が国に「配当」されることになる。こうなってしまえば、差し押さえられた財産を取り戻すことは実質不可能だ。
手を打つとしたら「換価」の前に行動するしかない。そこで、競売にかけられる前に、その「換価」を猶予してもらう制度を活用する。以前は税務署長の権限のみで採用された制度だが、近年の法改正で納税者から申し出ることが可能となっている。そこで少しずつでも「分納」が認められれば、少なくとも「滞納」(または滞納処分中)という状態ではなくなるため、当面は財産の差し押さえを免れる。
さらに、やむを得ない事情でどうしても税金を払うことができなければ、納税自体を猶予してもらう制度もある。やむを得ない事情には、災害、盗難などに加え、事業上の著しい損失の発生や休廃業が該当するケースがある。修正申告が重なって一時的に納税額が高額になった場合なども、認められたことがある。猶予が認められれば延滞税も減免される。(2019/11/11)