かつて「社員にやさしい企業」「女性が働きやすい企業」などのランキングで、上位の常連だった富士通が3000人規模の早期退職希望者を募ったことで話題を呼んでいる。大企業でも、これまでのような終身雇用を保てなくなっている状況があらわとなったわけだ。
中小企業でも、人件費の削減や社内人材の若返りを目指して、早期退職者を募ることがある。希望者には退職金とは別に、特別加算の一時金を支給することも考えられる。この一時金の税務上の取り扱いはどうなるのだろうか。
会社が従業員に支払うお金、つまり従業員の所得には「給与所得」と「退職所得」の2つがある。給与所得とは、給料や賞与の性質を持つ金品を指し、金銭で支払われるものだけでなく、物や権利などのいわゆる現物支給も含まれる。
一方の退職所得とは、退職手当や一時恩給といった「退職により一時に支払いを受ける一切の給与」を指す。早期退職希望者に対する特別加算の一時金は、まさに「退職により支払いを受ける給与」にほかならない。つまり通常の退職金と同様に「退職所得」として取り扱うこととなる。その際には、源泉徴収も忘れないようにしたい。(2019/06/21)