新法人の5社に1社が合同会社

1年で2万社以上設立


 「合同会社」を設立する人が増えている。2017年には全国で設立された法人のうち5社に1社が「合同会社」で、1年間に2万社以上の合同会社が新たに生まれたという。

 

 合同会社は06年の会社法施行で導入され、設立の手続きが簡単で意思決定が迅速に行えるなどのメリットがあることから、特に不動産の管理・運営業態などで活用されることが多い法人形態だ。

 

 株式会社の設立には公証役場での定款認証手数料だけでも5万円ほどかかるが、合同会社は定款認証が不要で、法人登記の際の登録免許税も株式会社の15万円に対して合同会社は6万円となっており、設立時の負担が少ない。

 

 また株式会社の役員は改選して就任や重任を登記しなければならず手間とコストが掛かるが、合同会社は不要で、株式会社に求められる株主総会や決算公告も必要なく、法人としての意思決定を迅速に行えるとされている。

 

 不動産管理事業を合同会社で行うと、個人事業主よりも経費として認められる範囲が広がるメリットもある。家族を役員にして報酬を支払えば、結果として将来の相続財産が減るため負担を少なくすることができる。不動産で得た収益にかかる税金も、個人の所得税として納めるより法人税で納めたほうが有利な場合がある。

 

 これらの法人化のメリットは株式会社でも同じだが、前述したように合同会社は設立・運営が比較的簡単であるという特徴がある。合同会社は社員(出資者)全員が業務執行や企業の意思決定に関わる仕組みだ。基本的に全員の同意がないと経営判断できないが、家族だけで経営する会社などであれば、当面は問題にはならないかもしれない。

 

 しかし、家族全員を合同会社の出資者としているケースで、子どもたちの間で財産争いなどが起きてしまった場合には、その特徴が大きな弱点ともなりえる。株式会社に比べて身軽であっても、財産保全自体がままならなくなってしまうリスクがあることも認識しておくべきだろう。(2019/01/29)