賃上げをした企業が増額分の一部を税金から控除できる「所得拡大促進税制」の改正内容を押さえておく必要がある。今回の見直しは2018年4月以降に始まった事業年度が対象なので、基本的に3月決算法人から新制度を適用できる。
見直し後は税額控除割合が10%から15%に拡大される。さらに給与支給額の平均の増加率が2・5%を超え、教育訓練費が前年度比で10%増えているか経営力向上計画の認定を受けていれば、賃上げの25%に相当する額の税額控除が認められるようになった。
また、適用するために必要な賃上げの割合が見直されていることにも注意したい。以前までは、2012年度と比べて給与支給額を3%以上増やす必要があったが、その条件は撤廃。代わりに、社員1人当たりの平均給与が前年から1・5%以上増えていることが条件となった。これによって、これまで適用できなかった会社が対象になっている可能性があるので、せっかくの税負担軽減策を見落としてしまうことのないようにしたい。
所得拡大促進税制は毎年のように改正されているためか、申告の際のミスが他の税制と比べて圧倒的に多い。顧問税理士が適用を失念してしまい、法人税額の過大納付分の賠償を請求されたケースが2017年度には67件も発生している。法人税に関する賠償請求の実に4割が所得拡大促進税制に関するものとなっている状況だ。(2019/06/24)