債務超過で経営難に陥っている子会社の窮状を救うため、親会社が子会社に対する債権を放棄するケースは珍しくない。
しかし、債権を放棄する際には注意が必要だ。一般に、債務超過状態ではない債務者に対して債権放棄をすれば寄付金課税の対象となるからだ。子会社を助けるつもりだったのに、課税されて自社の首を絞めてしまうようなことになってはつまらない。
損金算入が認められるのは、子会社の営業状態や債権放棄に至った事情からみて「経済合理性」があるときだ。例えば赤字決算のままでは営業に必要な登録・認可が取り消され倒産に至ってしまうケースや、営業譲渡による子会社の整理に際して譲受側から赤字の圧縮を強く求められているときなどは「経済的合理性」が認められる可能性が高い。
債権放棄を決める前に、まずはその債権が本当に回収不能か、その債権についてしかるべき回収努力は行っているか、仮に債権放棄するとした場合、その金額は適正か――などをもう一度検討し、「経済的合理性」の有無を確認しておく必要がある。(2017/12/07)