国債購入キャンペーンでの特典

現金プレゼントは雑所得


 個人向け国債の購入者に対して、現金やギフトカードをプレゼントするといったキャンペーンが行われることがある。例えば野村證券では、期間限定で5年債や10年債を買った人に対して、その金額に応じた現金をプレゼントしている。100万円であれば2千円、1000万円であれば最大4万円、5000万円であれば20万円――といった内容だ。こうしたキャンペーンでもらった現金は税務上、どのように扱われるのだろうか。

 

 所得税法では、利子所得や事業所得、給与所得など10種類に所得を区分しているが、そのうち営利を目的とする継続的行為から生じず、一時の所得で労務や資産譲渡の対価としての性質を有しないものは、「一時所得」とされている。国債の購入キャンペーンでもらえる現金もこの一時所得に該当しそうだが、じつは一時所得よりも税金面で有利な部分が多い「雑所得」で処理される。

 

 国税庁によれば、国債購入で受け取った現金は、「国債の購入という行為に密接に関連してなされているもの」であるため、対価性があるというのがその理由だ。もっとも、同じ現金でも携帯電話の契約時にショップから受け取るキャッシュバックについては「一時所得」として処理されることが多いようで、そのあたりの扱いにはあいまいな部分があるのが現状だと言える。しかし少なくとも国債のキャンペーンに限っては、国税庁が「雑所得」とのお墨付きを与えているのは間違いない。(2019/08/30)