副業の税務

所得区分は6種類以上


 総務省の2017年調査によると、副業をしている人は全国に270万人いて、就業者の4%が何らかの副収入を得ているという。副収入の税務上の所得区分は、副業の解釈を広げれば、雑所得や事業所得、給与所得、不動産所得、譲渡所得、一時所得などに分かれる。その区分を誤ると税額も異なってくるので注意が必要だ。

 

 アルバイトなど副業として別の会社にも勤めているのなら収入は給与所得となる。給与所得に認められている「給与所得控除」は他の所得控除よりも差し引ける額が一般的に多いため、他の働き方と比べて税負担は少なくて済むことが多い。

 

 他の会社に雇用されずに行う単発の副業は一般的に雑所得となる。そのためアフィリエイト広告や民泊の収入は基本的に雑所得として申告しなければならないが、反復継続してその業務から所得を得ているのであれば事業所得として計上することができる。

 

 事業所得は雑所得とは違い、65万円の青色申告特別控除など青色申告の各種優遇を受けることが可能だ。また必要経費にできる範囲が雑所得と比べて広い。ほかにも、賃貸不動産の収益は不動産所得、株の儲けは譲渡所得、懸賞の収入は一時所得となるなど所得区分はいくつにも分かれる、なんともややこしい仕組みだ。

 

 なお、副業の法的な定義はないが、税務上では20万円がひとつの境界線になる。社長やサラリーマンは会社が年末調整を行うので基本的には確定申告をする必要はないが、副収入があると申告が必須で、具体的には副業での所得が20万円を超える人や、複数の会社に勤めていて〝本業〟ではない会社からの所得が20万円を超える人などは申告義務が生じることになっている。

 

 昨年、会社が就業規則を作成する際の参考となる「モデル就業規則」を、厚労省が改訂した。以前は副業禁止を原則とする記載を基本としていたが、改訂版では副業を可能とする内容に変更している。政府では副業の推進を図っているため、従業員が副業することを前提に法制度が整備されていくことも考えられる。企業としては副業を認めざるを得ない状況になっていくかもしれない。(2019/07/05)